投稿日
2024.05.23
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zenrintokai-user
工務店のマーケティング戦略で取り入れたい、有効フレームワーク3選!
新規の集客をもっと増やしていきたい…
しかし、漠然と悩んでいるだけでは、なかなか解決の糸口は見つけられません。
競争の激しい住宅業界において、コンスタントに集客を獲得していくには、消費者の気持ちを正しく理解して、戦略的な集客施策を練っていく必要があります。

今回は、工務店が集客・マーケティング戦略を練る上で、オススメできるフレームワークを3つご紹介します!

1. フレームワークとは?

そもそもフレームワークってなに?という方に向けて、まずはフレームワークという言葉・概念について解説いたします。

フレームワークとは、一言でまとめると「物事を考える上での枠組みや骨子、または思考方法」のことです。

非常に広義な言葉になりますが、簡単に言うと「ヒントになる考え方」「考え方のガイドライン」といったところでしょうか。

問題や課題について考える際、同じトピックについて考えるにしても、情報の整理の仕方ひとつで、思考方法は大きく変わってきます。

例えば、「最近、問い合わせが少ない」という問題について数人で話合うとします。

単純に「なんで最近問い合わせ少ないんだろうね~」というふうに漠然と話し合うのと、問合せが少ないという問題に対して、「いつからそうなったのか」「どの媒体の問い合わせに変化があったのか」「具体的にどのくらいの差が生まれているのか」、など、事前に考えるべき項目が明らかな上で話合うのとでは、恐らく話し合いの粒度や具体性は大きく変わってくるでしょう。

このように、問題や課題に対して、具体的かつ詳細に考えを広げ、思考を深めていくためにも、フレームワークを活用することは有効です。
フレームワークを活用することで、思考が整理され、これまで辿りつけなかった答えに辿りつく可能性が広がります。

2.オススメフレームワーク①:STP分析

オススメのフレームワーク、1つ目は「STP分析」です。

STP分析は、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字を取って名付けられたフレームワークです。
セグメンテーション(市場の細分化)→ターゲティング(ターゲット市場の選択)→ポジショニング(選択した市場における自社の立ち位置決め)の順番で、自社がどの市場でどんな立ち位置で戦っていくかを把握・分析することに役立つフレームワークです。

主に新商品や新規事業を立ち上げる際に有効だと言われているフレームワークですが、現状把握にも大変役に立ちます。

分析の手順を、順を追って説明いたします。

① Segmentation(セグメンテーション):市場の細分化

最初の手順は、市場を細分化することです。
皆様にとってのターゲット市場は、住宅市場となるかと思いますが、
幅広く「住宅市場」として捉えるのではなく、様々な目線から見ることで、顧客や市場を分類・細分化することができます。

セグメンテーションにおいては、以下4つの変数(基準)で分類することが代表的です。

・地理的変数
・人口動態変数
・心理的変数
・行動変数

言葉だけ聴いても「??」となってしまうと思いますので、1つ1つ嚙み砕いて解説します。
それぞれ以下のような基準で考える分類方法です。

・地理的変数
→市場・顧客の地域はどこ? その地域ならではの慣習や特性などはある?

・人口動態変数
→市場・顧客のボリュームはどれくらい? 性別・年齢・家族構成・職業などの条件で絞った場合のボリュームはどれくらい?

・心理的変数
→価値観・趣味趣向・生活スタイルなど、個人の価値観で絞り込むとしたらどんなものがある?(アウトドア好きなど)

・行動変数
→購入状況や顧客との接点を取れている回数などで絞り込むと、どんな人がいる?

言葉だけ聴くと難しく感じてしまうかもしれませんが、簡単に言ってしまえば、「様々な視点で顧客・市場を見てみましょう」という考え方です。(私の解釈では)

1つ1つの変数だけで絞り込むのではなく、様々な変数を掛け合わせて分析することもできます。

特に工務店様の場合は、「地理的変数」については、商圏が決まっていると思いますし、「行動変数」については、住宅は何度も購入するものではありませんので、極端に言えば新規かOBかの2択に分けられるかと思います。

だからこそ、「地理的変数」を1つの軸に、「人口動態変数」の年齢や家族構成で考えてみたり、または「心理的変数」の趣味趣向で考えてみたりと、様々な組み合わせで市場を見てみると、効果的かと思われます。

② Targeting(ターゲティング):ターゲット市場の選択

続いての手順は、市場の選択です。
セグメンテーションでは、「住宅市場」という大枠ではなく、様々な視点から市場を細分化する重要性について解説しましたが、ターゲティングのステップでは、細分化した市場の中で、どの市場を狙っていくのかを選択します。

新商品や新規事業の立ち上げでは、「これからどの市場を狙っていくか」という視点で考えられるかと思いますが、
既存事業や既存商品を考える上では、改めて「自社の商品・サービスはどの市場を対象としているのか」を、考え直してみると良いでしょう。

③ Positioning(ポジショニング)

選択した市場における自社の立ち位置決め
最後のステップはポジショニング(自社の立ち位置を決めること)です。

ターゲティングで選択した市場をさらに細分化して考えていきます。
すると、その市場をターゲットとしている会社は、自社だけではなく、競合他社が存在していることに気づくかと思います。

ポジショニングでは、ターゲット市場に対して、様々な競合他社がいる中で、自社がどの立ち位置に該当するのか、もしくはこれからどの立ち位置で戦っていくのかを考えます。

それを考える上では、4分割のマトリクス図のような図式で分類すると、わかりやすいでしょう。

縦横の軸には、「価格」「住宅の特徴」「会社の特性」など、「選ばれる基準」として考え得る要素を置いて考えるといいでしょう。

決まったやり方はありませんが、縦軸に「価格」、横軸に「自社がもっとも強みとする要素」を置いて分析するのが一般的です。

実際にやってみていただくと、恐らく多くの工務店様がぶつかる壁が、「他社をどこにおいて良いのかわからない」という問題だと思います。

A社と自社では性能にどのくらいの差があるのか?B社と自社では価格にどのくらいの差があるのか?具体的にイメージがつかない、というケースが多いのではないでしょうか。

その場合、まず取り組むべきは「情報収集」です。
このようにSTP分析を行うことで、自社の立ち位置が明確になるのが最終のゴールですが、それを考える上で足りない情報に気づくこともできます。

まず何から取り組むべきか、を明確にするためにも、一度実際に考えてみてはいかがでしょうか。

オススメフレームワーク②:3C分析

2つ目のオススメフレームワークは「3C分析」です。
3C分析は、分析する3つの「C」の頭文字に由来するフレームワークで、Customer(顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)について考え、分析するフレークワークです。

STP分析は市場の細分化に役立つフレームワークですが、3C分析は目の前の顧客や競合と照らし合わせながら考えるフレームワークなので、自社が訴求すべき強みやアピールポイントを、より具体的に考えるのに役立つフレームワークです。

3C分析では、主に以下の3つについて考えていきます。

① Customer(顧客):自社の”典型的な”顧客とは、どんな人物か、その顧客が望んでいる価値は?
② Company(自社):自社が顧客に提供している価値は?
③ Competitor(競合):競合が顧客に提供している価値は?

① Customer(顧客)
まずは顧客像の理解から入ります。
自社がターゲットとしている顧客、その中でも自社のお客様を代表するような典型的な顧客とは、どんな人物なのか、なるべく詳細に、具体化していきます。

ここでは、「30代の家族」といった抽象的なものではなく、「35歳、奥様と子どもが2人いて、年収600万円の△△社に努めている○○さん」と具体的な人物像が浮かぶくらい、詳細な情報を上げていくことが重要です。

1人の人間に絞れるくらい、詳細な人物像を描くことで、「50代の女性が喜ぶプレゼント」ではなく、「あなたの奥様が喜ぶプレゼント」というほうが、具体的にイメージがしやすいように、これから考え得る施策の具体性がまるで変わってきます。

そして、人物像を定めたら、次にその顧客が望んでいる価値について考えます。

その顧客がこれから家を建てるとしたら、どんな価値観を持っていて、どんな暮らしを描きたいのか、どんな価値を求めているのかを細かく考えていきます。

② Company(自社)
続いて、自社のことについて考えます。
自社が顧客に提供できる価値や、自社の強み、アピールポイントを、考えて洗い出していきます。

ここでは、何かの条件で絞り込んだりせず、とにかく考え得る限りたくさん出してみることが重要です。

③ Competitor(競合)
最後に、自社と同じ顧客をターゲットとする競合について考えます。
競合が提供している価値、強み、アピールポイントや印象など、自社と同じく考え得るものを洗い出していきます。

3C分析を行うことで、自社にしかない強み、「バリュ―プロポジション」を見つけることが出来ます。

あなたがどうしても欲しいものがあったとして、それをA店という店が売っていたとして、尚且つ「そこにしかないもの」であれば、買わない選択肢はないですよね。

自社にしかない価値:バリュ―プロポジションを見つけることは、自社の圧倒的な勝ち筋を見つけることに繋がります。

バリュ―プロポジションは、自社が提供している価値と、顧客が求めている価値を照らし合わせ、そこから競合でも提供できる価値を引いたものです。

3C分析を詳細に行うことで、バリュ―プロポジションの発見に繋がります。
簡単なことではありませんが、自社の勝ち筋を見つけるためにも、時間をかけてでも実践してみることをオススメします。

3.オススメフレームワーク③:カスタマージャーニーマップ

オススメのフレームワーク3つ目は、カスタマージャーニーマップです。

カスタマージャーニーマップは、顧客が自社の商品・サービスを契約・利用するまでの流れを整理して考えるフレームワークです。
顧客が商品・サービスを利用するに至るまでにはどんな過程があり、自社はその過程において、どんなタッチポイント(接点)が取れるのか、それを整理して考えることができます。

まず、3C分析と同じく、明確な顧客像(ペルソナ)を決めることから始めます。
商品・サービスを利用するまでの過程や、その過程における喜怒哀楽といった感情の変化は、人によって大きく違います。
そのため、どんな顧客像を設けるかが重要となります。

次に、横軸に顧客の検討段階を置きます。
商品・サービスを利用するまでに、どんな検討段階があるのかを考え、おいていきます。
これは一例ですが、例えば、以下のようなものです。

認知>情報収集>比較検討>絞り込み>契約>施工>完成・アフター

ぼんやりと住宅のことを思い浮かべているだけの段階から、実際に情報収集に動き出し、最終的に契約し、アフターに至るまでの過程を、一度洗い出し、横軸に置きます。

続いて、その段階ごとの顧客の感情や気持ちをその下の列に記載します。
さらに、その下の列には、その感情や気持ちを元に、顧客が取るであろう行動を挙げていきます。

そしてその下に、顧客の段階に合わせて、自社が取れるタッチポイントを思いつく限り記載していきます。

これを行うことにより、自社の顧客はその時々でどんな感情変化が起こり、どんな行動を取っていて、そこに対してどんなアプローチが出来るのかを、具体的に考えることが出来ます。

場合によっては、今まで起こってしまっていた、機会損失に気が付くかもしれません。

カスタマージャーニーマップは、顧客が購入にいたるまでの過程で、生まれてしまっていた機会損失と、本来取るべきタッチポイントに気づくことができるフレームワークです。

顧客の気持ちをわかっている「つもり」に陥ってしまわないためにも、実践してみることをオススメします。

4.まとめ

工務店のマーケティング戦略に役立つフレームワークを3つほどご紹介しました。

闇雲に集客が少ない…集客を増やしたい…と悩んでいても、具体的かつ有効な一手は簡単に思い浮かびません。

集客を戦略的に行う上では、論理的に物事を整理しながら、今起こっている問題の本質は何なのかを突き詰める必要があります。

今回のフレームワークは、その一助となってくれるものですので、ぜひ取り入れてみてください。

そして、分析して終わるのではなく、具体的な施策、すぐ取り組むべきことまで落とし込み、それを実践してみることが重要です。