これまでGoogleがサードパーティークッキーの廃止について方針発表し、延期されており2025年初頭には順次適応される意向ではありましたが、米Googleが、7月22日(現地時間)にサードパーティークッキー廃止の代わりとなるアプローチを発表されました。
この新たな手法というのが、ユーザーがWebサイト閲覧に対して選択を行い、選択をいつでも調整できるというような仕組みを適応していくものだと考えられます。ユーザー自身で選択をできるような柔軟性を取り入れた対応になるのではないでしょうか。
とはいえ、今後も対策を行い精度を高めていく必要性はあります。機械学習モデルが進んでいく将来を見据えて、対応を進めていくことをおすすめ致します。(2024/07/24 更新)
サードパーティークッキーとは
そもそもクッキー(Cookie)とは?
クッキー(Cookie)は、Webサイトがあなたのブラウザ(webサイトを閲覧するために使うソフトChromeやsafari、Internet Explorer)に置いておく⼩さなメモのようなものです。
webサイトがクッキーを使ってユーザーを識別し、そのユーザーの設定やイン
ターネットを使っている際の⾏動を記録しています。
たとえば、ユーザーがオンラインショッピングサイトで商品をショッピングカートに⼊れたとします。
webサイトはその情報をクッキーに保存しておき、別のページに移動しても、そのショッピングカートの中⾝を記録しています。
なので、また同じwebサイトに戻ってきた際に、以前追加したショッピングカートの内容を表⽰できるような仕組みになっています。
また、会員限定で最新不動産情報を公開しているwebサイトの場合でも、クッキーがユーザーのログインを記録して再度webサイトに訪れた際も再度ログインをする必要がなく便利だと感じた経験もあるかと思います。
このようにクッキーは、webサイトでログイン情報を保存したり、ショッピングカートの履歴や、お問い合わせフォームの⼊⼒内容の記録、⾔語や地域設定を記憶したりするのに使われます。
ユーザーの同意無しに送信されることが多いサードパーティークッキーは、ユーザーの個⼈情報の取り扱いが問われている今、プライバシーに関する懸念もありますが⼀般的にはwebサイトの機能性やユーザーにパーソナライズされた体験を向上させるのに役⽴ちます。
ようするにユーザーに便利な仕組みともいえますね!
サードパーティークッキーとは
サードパーティークッキーは、第三者ドメインが発⾏するwebサイトやインターネット広告などが提供する⼩さなデータファイルであり、ユーザーの⾏動履歴等を追跡するために使⽤されます。
先ほどの、オンラインショッピングサイトがカートに⼊れた中⾝を覚えてくれているものはファーストパーティークッキーというもので、サードパーティークッキーとは、他のwebサイトがユーザーの⾏動を追跡するのに使⽤されるという違いがあります。
住宅会社のwebサイトを⾒て、次に他のwebサイトを⾒た際に先程⾒た住宅会社の広告が表⽰されるリマーケティング(追跡型)広告を活⽤している住宅会社様も多いのではないでしょうか。
広告がサードパーティークッキーを使ってユーザーの閲覧履歴や興味を追跡
しているという仕組みになります。
ファーストパーティークッキーは、同じブラウザで同じwebサイトに訪問した際にのみ有効となりますが、異なるwebサイトに移動したユーザー⾏動を追跡する場合はサードパーティークッキーが有効となります。
サードパーティークッキーは、広告ターゲティングやユーザー⾏動の分析などに使われますが、プライバシーの問題も懸念されています。
ブラウザの設定でサードパーティークッキーをユーザー⾃⾝で無効化することもできたりします。
サードパーティークッキーの具体的な使い⽅
サードパーティークッキーは、先程説明したリマーケティング広告の他にも使い⽅は多数ありますが、住宅会社様に関連するような項⽬として下記が考えられます。
■広告ターゲティング
ユーザーが特定の商品やサービスに興味を⽰した場合、サードパーティークッキーはその情報を記録し、他のwebサイトでその商品やサービスに関連する広告を表⽰します。
ex)
住宅会社のサイトで、平屋の施⼯事例に興味を⽰した場合、次に訪れたニュースサイトやブログで平屋に関連する広告が表⽰されることがあります。
■クロスデバイスの追跡
サードパーティークッキーは、ユーザーが複数のデバイスを使⽤してwebサイトにアクセスする場合でも、そのユーザーの⾏動を追跡します。
ex)
スマートフォンで今週の⾒学会を⾒てから、後でその⾒学会をパソコンで⾒学予約した場合、サードパーティークッキーはその⾏動の⼀貫性を把握します。
■アクセス解析
ウェブサイト運営者は、サードパーティークッキーを使⽤してユーザーの⾏動を分析し、ウェブサイトのトラフィックパターンやコンテンツの⼈気を把握します。
ex)
ユーザーが外部サイトに表⽰されたディスプレイ広告をクリックして、広告主のwebサイトに訪問してwebサイト内容に興味を持ち資料請求を⾏った場合、コンバージョンデータとCookie情報が送信され、広告管理画⾯(Google広告やMeta広告等)で広告経由のコンバージョン獲得を確認することができます。
普段何気なく触れている広告は、サードパーティークッキーの技術によって精度の⾼い配信が⾏えているからだと考えられますね。
サードパーティークッキー廃⽌の影響
サードパーティークッキーは上記の活⽤例でもあげたように広告主としてはとても便利な仕組みとなります。
ですがユーザー⽬線としては「⾃分の個⼈情報が活⽤されている」等の不快に感じる原因にもなりかねません。
そのため、個⼈情報の観点からサードパーティークッキーに対する規制への動きが強まっていて、利⽤制限も適⽤されてきています。
ユーザーのトラッキングが難しくなる
規制により制限されてしまう代表的な項⽬として、ユーザーのトラッキングがあります。
サードパーティークッキーの廃⽌により、ユーザーのオンライン⾏動を追跡することが難しくなります。
これにより、広告主やwebサイト運営者は、ユーザーの興味や⾏動を正確に理解するのが難しくなり、これまでのようにユーザーの詳細なデータを把握することが難しくなり、ターゲティング広告やパーソナライズされたコンテンツの提供が制限される可能性があります。
・リマーケティングリストの縮⼩化
・興味関⼼やユーザー⾏動の精度低下
・インターネット広告配信の効果測定の困難化
・パーソナライズされた情報ではなく⼀般的な広告やコンテンツにさらされる可能性
マーケティング戦略に影響が出る可能性
サードパーティークッキーの廃⽌は、マーケティング戦略にも影響を与える可能性があります。
これまで精度の⾼いユーザー⾏動や興味関⼼に対して広告配信を⾏っていたことが難しくなることで、広告⽂やキャッチコピー、デザイン性に⼒を⼊れて他社と差別化していくことが必要になってくるかと思います。
広告内容だけでなく、ターゲットオーディエンスをより広範囲にリーチするための新しい⽅法も模索する必要もあります。これには、コンテキストターゲティング(適切な場所に適切な広告を配信する⼿法)やファーストパーティーデータの活⽤、コンテンツマーケティングの強化などが含まれます。
また、インターネット広告の効果測定の困難化により結果を把握しにくくなるため、何が効果的なのか⾃社の勝ちパターンを⾒つけ出すのも更に難しくなってくるのではないかと思います。
そのために広告主やマーケターは、今後オーディエンスの分類やマーケティング戦略の再評価が必要になると考えられます。
対策案
サードパーティークッキー規制が強まるにつれて、広告主やマーケターは対策や代替⼿段を考えていかなければなりません。
将来的に活⽤が困難になってくるサードパーティークッキー規制に対して、考えられる対策案についてふれていきたいと思います。
ファーストパーティークッキーの活⽤
上記でも解説したとおりファーストパーティーデータは、⾃社のwebサイトやアプリで収集したユーザーの情報については今後も利⽤可能です。
このファーストパーティーデータを活⽤して、ターゲットオーディエンスを特定したり、広告配信を強化していくことが考えられます。
■webサイト内での情報収集を強化
⾒学会申し込みとなるとハードルが⾼いコンバージョン(⽬標)ポイントだけでなく、⼿軽に⾏動できるような資料請求の増加や会員申し込みで情報提供する仕組み等ユーザー情報を獲得できるコンテンツづくりが求められてきています。
■顧客データを活⽤した広告配信
顧客ユーザー情報をもとに、カスタマーマッチリストを活⽤し効果の⾼いパーソナライズド広告を既存の顧客に表⽰することができます。
顧客データをもとに、類似した⾏動を⾏うユーザーといった学習データも各広告媒体で設けられているのでこちらも活⽤すると精度の⾼い新規開拓の可能性も考えられます。
■媒体での学習データを有効活⽤した広告配信
ユーザーに視点をおいた興味関⼼でのターゲティングやリマーケティングターゲティングが精度が低下したり活⽤しにくくなるということは、ディスプレイ広告の配信が難しくなるということが考えられます。
代替として下記の配信⼿法へ切り替えて検証を進めていくと良いかと思います。
・Google広告の「Performance Max(パフォーマンスを最⼤化)」
GoogleのAIによる⾃動化機能を取り⼊れたP-Maxで、Googleが提供している広告チャネルと広告枠を使って成果を⾼めた配信を⾏うことができます。
・Google広告の「デマンド ジェネレーション(旧ファインド広告)」
Googleログインユーザーの検索・閲覧履歴を参考に広告配信を⾏うことができる広告で、クッキー規制の影響を受けずにユーザーに広告を届けることができます。
GoogleサービスのDiscover、YouTube、Gmailの配信⾯に配信ができます。
ファーストパーティークッキーを適切に活⽤していくためにも、保有している利⽤ユーザー情報の把握が重要化されます。
ファーストパーティークッキーを使⽤して収集された利⽤ユーザーの情報は、webサイト運営者が管理および保護します。
個⼈情報やプライバシーに関する規制に厳密に従い、個⼈情報の観点で問題がないか、どのように管理しているのかユーザーのデータを適切に保護することが重要です。
webサイトのユーザー情報の取り扱いとして、プライバシーポリシーページへの明記も⾒直し改善をしていくことが急務となってきているのではないかと思います。
インターネット広告計測データの拡張
サードパーティーデータを活⽤できなくなった場合でも、各媒体(Google社、Meta社)が保持するユーザーデータとアカウントの情報もとに、あるいはサーバーから直接情報送信を⾏うことで、正確なコンバージョン計測を⾏う対応策もあります。
Google広告では拡張コンバージョン、Meta広告ではCAPI(コンバージョンAPI)の導⼊も進めていく必要があります。
ユーザーとのコミュニケーション強化
ユーザー集客を強化するだけではなく、コミュニケーションの場がネットに移⾏しつつあるのにともないユーザーとのコミュニケーションのあり⽅も変化してきています。
■電⼦メールを⽤いた情報発信
企業が電⼦メールを使⽤して、顧客や⾒込み客に対して情報を伝えたり、商品やサービスを宣伝したりするメールマーケティングは顧客との関係を築き、信頼を構築するための重要なツールになります。
■ソーシャルメディアの活⽤
ソーシャルメディアプラットフォームでの定期的な投稿を⾏い、興味深いコンテンツを提供します。
製品やサービスに関する情報、業界のトレンドやニュース、役⽴つヒントやア
ドバイスなどを提供することで顧客の関⼼が⾼まり、SNS上での相談、メッセージの送信などのコミュニケーションを⾏うことができます。
ターゲティング広告の⾒直し
ターゲティング広告の配信⼿法を⾒直すこと必要性も⾼まってきています。
■コンテキストに基づいた広告戦略の構築
広告を特定のコンテキストや状況に合わせて配信する広告戦略も活⽤することで、広告の内容や形式を、ユーザーが閲覧しているコンテンツやページの内容・状況に合わせて最適化することができます。
そのため、ユーザーの興味や関⼼を引きつけやすい配信を⾏えます。
家づくりのブログサイトで住宅会社の広告を表⽰するようにしたり、質問サイトで⼆世帯住宅について質問されているwebページに⼆世帯住宅の家づくりの広告を表⽰したりすることが考えられます。
・コンテンツの関連性を重視
広告が表⽰されるwebページやアプリのテーマや内容に合わせて、適切な広告を提供
・ユーザーのニーズや関⼼に合わせた広告を配信
ユーザーが特定のコンテンツを閲覧している場合、そのコンテンツに関連した広告を表⽰
・デバイスや場所に応じた広告の最適化
ユーザーがどのデバイスを使⽤しているか、どの地域に居住しているかに応じて広告を最適化
・時期や季節に合わせた広告の調整
季節のイベントや時期に合わせたキャンペーンやセール情報を提供
まとめ
今回の記事では、サードパーティークッキーについて解説させていただきました。
脱クッキー(クッキーレス)で、従来のクッキーを使⽤しないデジタル広告の新しい⽅向性を考えていく重要性が⾼まってきています。ユーザーの閲覧履歴や⾏動を追跡するための仕組みが、プライバシーの問題やブラウザーの制限により、使⽤が制約されています。
サードパーティークッキーを使⽤せずに、よりプライバシーに配慮した広告配信を実現していきましょう。
弊社では、広告配信の戦略やコンバージョン精度を⾼める設定も対応しております。
また、個⼈情報の取り扱いについてのプライバシーポリシーの記述内容についてもご相談をお受けしております。
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