投稿日
2021.04.19
カテゴリー
ブログ記事
ライター
鈴木啓士
来場率/来店率を上げたい。発送資料を送りっぱなしにしない、工務店の来場に繋げる仕組みとは?
工務店の経営者様、今の来場数・来店数に満足されていますか?

マーケティング活動において、大きな役割を持つ「資料請求」。この資料請求があったタイミングで、初めて1人のエンドユーザーがどこの誰なのか、貴重な顧客情報が手に入る大きなターニングポイントですよね。
私自身、担当させて頂いている複数の工務店様とお話する中で、資料請求の件数を重視しながらも、来場・面談率に明確な課題を感じている(あるいは課題がありながらもまだ気づいていない)工務店様が昨今多くいらっしゃるように感じます。本記事では、資料請求には繋げられても、来場・面談まで繋げることができない、工務店様が抱える課題の分析と、来場・面談率を上げるために考えられるいくつかの施策をご紹介します。

全国の工務店様が抱える慢性的な課題

大前提として皆様のマーケティング活動のゴールは、自社で新築住宅の契約を結ぶことだと思います。「自分たちはこんないい家づくりができる!」という想いから、「もっと元請けの仕事を取りたい!」と考え、「自社での受注を増やすために、まずは認知度を上げて、見込み客との接点を作らなければ!」このような観点から、様々な広告媒体に出資したり、ポータルサイトへ掲載をされている工務店様が多いのではないでしょうか。先述にもありましたが、このような工務店様のマーケティング活動の中で、「資料請求」というフェーズは大きな役割を担っています。何故なら、広告配信は認知拡大を目的に、不特定多数の人に対して行いますが、「資料請求」は見込み客が「実名化」するからです。見込み客が実名化しない限り、営業活動は行えませんよね。しかし、陥りがちな落とし穴は、資料請求の件数にばかり目が行ってしまうことです。どれだけ見込み客のリストが生まれても、実際に来場・来店してもらわなければ、貴社の本当の魅力は伝わりませんし、商談にもつながりません。ある程度の資料請求の件数を抱える工務店様にとって、「資料を送り続けても来店・面談に繋がらず、資料の発送が単純作業になってしまい、ただただ手間になっている。」このような事象は慢性的な課題と言えるのではないでしょうか。

そもそも資料請求とは?

そもそも資料請求とはなんでしょうか?
資料請求をされるお客様の心理は、どのような状態にあるのでしょうか?

インターネットが普及する以前では、エンドユーザーも情報を取得する手段が限られていたはずです。例えば、家づくりのために住宅会社を探す場合、書籍を購入したり、住宅展示場に足を運ぶ。さらに詳しい情報を知りたければ、直接話を聴くか、詳細な資料を請求する以外に、情報を取得する手段が無かったと考えられます。(私はゆとり世代なので憶測です)
しかし、インターネットが普及した現代では、誰もがスマートフォンやPC1台で、ありとあらゆる情報を取得することができます。例えば、住宅会社を探すにも、わざわざ展示場に足を運んだり、書籍を購入しなくても「○○市 工務店」等と検索エンジンで検索することで、一定数の住宅会社を探すことができます。ホームページを訪れれば、どんな家づくりをしているのか等の詳しい情報を匿名で得ることもできます。またホームページ以外でも、ポータルサイト等にも情報が掲載されていますし、実際に建てたお施主様の口コミが知りたければ、口コミサイトやSNSを利用することで、生のエンドユーザーの声まで取得することができます。これほどネット上に情報が溢れていて、誰もがその情報を得られる中で、なぜ見込み客は資料請求をしてくるのでしょうか?「お宅の工務店で家を建てようかと考えているから、もっと情報をくれ!」と考えているのなら、なぜそのまま来場予約をしないのでしょうか?
私たちは見込み客を「今すぐ客」「そのうち客」「まだまだ客」等といった購買フェーズごとにカテゴライズしています。その上で、資料請求を行う見込み客は所謂「そのうち客」であり、「今すぐではないけど、そのうち家を建てたい」「まだ直接話を聴くまでもないけど、ホームページに載っているもの以上の情報が欲しい」このような心理状態で資料請求をしている見込み客が多いと推察しております。

受け取り手の身になって考える

先述した通り、私たちは資料請求とは「まだ直接話を聴くにはハードルが高いけど、ホームページに載っている以上の詳細な情報が欲しい」という意思から生まれる行動だと考えています。つまり資料請求をする見込み客の心理は、「ネット上では見られない詳しい情報が得られる」という期待感を持っていることです。その上で、皆様が現在送っている資料を、受け取り手の立場になって見てください。

→ 届いた時に思わず開封したくなるでしょうか?
→ ホームページと同じような情報ばかりが載っていないでしょうか?
→ 期待している以上の情報が得られるでしょうか?
→ 次の行動(来店予約やイベント参加)に繋げる動機付けができているでしょうか?

1社のみ資料請求を行い、1社のみプラン作成を依頼する。というエンドユーザーはほとんどいません。手軽に情報が入手できる分、多くの工務店様の情報を調べ、複数社に資料請求をし、その中から厳選した工務店様にだけ個別相談をしています。例えば、3社に資料請求を行った時、A社の資料は何年も前に作った会社案内と見学会告知のチラシのみ、方や他の2社は上記で質問したポイントをすべてクリアしている資料を送ってきたとすれば、自ずとA社が検討候補から漏れてしまうのは致し方ありません。資料請求から来場に繋げるためには、まず資料請求を行った見込み客が、どのような心理状態にあり、その期待に応えるためにはどうするか。という観点で策を講じ、資料発送を行うことがポイントです。

来場率を上げる施策① 送付資料を見直す

個人情報を貴社に提供し資料請求を行った見込み客は、貴社に対してどんな情報を提供してくれるのかを期待しています。送られてきた資料が見込み客の期待を下回ってしまえば、当然ながら来場率は下がってしまうでしょう。

POINT① 個人情報を提供したからこそ得られる、より具体的な情報提供

ネット上でどこでも書かれているような情報ばかりであれば、期待を下回ってしまうでしょう。例えば、施工事例。お施主様によってはネット公開はNGだとしても、特定の方にのみ見せるだけであればOKを出してくれるケースもありますよね。ネット上では見ることができなかったクオリティの高い家の写真が見られるだけでも、見込み客が抱いている期待に応えることはできるはずです。

POINT② 競合他社がどのような資料を送っているのかリサーチ

自社の資料が他社と比べてどう見えているのかという観点も大切です。人間は置かれている状況によって物の見え方が180℃変わってしまうこともあります。例えば、私はセブンイレブンのチキンカツサンドが大好きで、サンドイッチを買う時はいつも買っています。ですが、もしセブンのチキンカツサンドの隣に同額でケンタッキーの和風チキンカツサンドが並べられていたら、迷わず和風チキンカツサンドを取ってしまいます。 私個人の例なのであまり参考にならないかもしれませんが、無料で請求できる資料の中で、A社と同時に資料請求された場合必ず来場に繋がるけど、B社と同時に資料請求されたら1件も来場に繋がらないというシチュエーションも十分に考えられます。競合他社がどのような資料を送っているのか、リサーチし競合分析を行うことも大切です。

来場率を上げる施策② 追客を仕組み化する

資料請求後の追客業務が、明確にルール化(仕組み化)されているという工務店様は、意外と多くないのです。

例えば資料請求があった後、誰がフォローアップの連絡を取るか、見学会告知のメールやDMをいつまで送るのか、反応がなかったお客様にはどのような対応を取るか、そもそも追客業務自体をいつまで行うのか等、資料請求があった見込み客へのフォロー活動が明確にルール化されておらず、スタッフごとに異なるといった属人的な組織体制になってしまっているケースが多々あります。資料請求が多く来ている場合、選択と集中でよりホットな見込み客に対して、手厚いフォローを行う必要があります。追客業務を明確に仕組み化し、見込み弱の追客業務を手軽に、見込み強の追客業務を手厚くすることで、効率的に来場へと繋げることが可能になると考えられます。

来場率を上げる施策③ 顧客の潜在的ニーズを汲み取る

資料請求とは、更なる情報提供の期待から生まれる行動だと先述しましたが、見込み客が何を求めているのかは、人それぞれです。1人1人家づくりに対してこだわるポイントは違います。例えば、A社のホームページに掲載されていた、平屋の施工事例に惹かれ、資料請求に至った見込み客がいたとします。この見込み客の潜在的ニーズは「平屋」ですが、資料請求の時点ではA社に伝わっていません。「平屋に興味がある」事を知らずに、コンセプトブックと合わせて、2階建ての家ばかりが載った事例集を送った場合、どれだけ素敵な資料を送っても、この見込み客の期待には100%応えられていません。見込み客が、どんな情報を求めているのか、家づくりにどんなこだわりがあるのか、潜在的ニーズを事前に汲み取り、そのニーズに合わせて情報提供をすることで、より満足させることができるでしょう。

 ニーズを汲み取るための事例

弊社でウェブサイトを制作させていただいた工務店様の事例では、資料請求フォームに「理想のお家のキーワード」という項目を付け加えることで、より具体的な資料発送が可能になり来場率が上がりました。

来場率を上げる施策④ 見込み客の意識変化を見逃さない

鉄は熱いうちに打てとよく言いますが、資料請求をして送られた資料が届いた後、見込み客の興味関心度が最も高まる瞬間は、資料を読んでいる間か読み終えた瞬間だと考えられます。しかし、資料請求後すぐに来場を考えている人ばかりでもありません。まだ建築予定地が決まっていなかったり、住んでいる家の契約期間や、経済的状況の変化など、様々な理由ですぐに家づくりを考えられない人もいます。しかし、その後しばらく連絡を取らずに、半年後に連絡をしてみたところ、他社で契約になったという話も多く耳にします。つまり、資料請求があった時点では考えてなくても、いずれ家づくりを本格的に考えるタイミングが来るわけです。単に早いフォローが良いというわけではなく、適切な情報を適切なタイミングで見込み客に届けること、見込み客の意識変化を見逃さないことが、重要であると考えられます。例えば、現時点では土地のみ探していることが事前に分かれば、土地情報がまとまった資料を送付することで、家づくりの計画はずっと先でも継続的なコミュニケーションをとることができます。また、経済的事情で家づくりを諦めてしまった見込み客に、継続してLINEマガジンを定期配信。未読が続いていた中、急に既読になり始めた場合、再度家づくりを考え始めたのではと考えられます。情報発信をする中で、相手が今どんな状況にあるのかを推察することで、機会損失を最小化していきましょう。

来場率を上げる施策⑤ マーケティングオートメーションを活用する

上記にあげた4つの施策を考えた時に、すぐ取り掛かれること、すぐには取り掛かれないこと、様々あったかと思いますが、おそらくどの工務店様にも当てはまる障壁が「人手不足」ではないでしょうか。

「資料を作り直したいけど考える時間がない」「本当は資料請求後に定期連絡を取ったり、DMやメルマガで見学会告知をしたいけど回しきれない」「資料請求があってもこの人がどんな資料が欲しいのかわからないし、1人1人個別対応を丁寧に考える時間が無い」「1年後2年後に建築を予定している見込み客と、定期的な連絡は取り切れない。」上記4つの施策がすべてクリアできれば理想的ですが、あくまでこれは理想論であり、結局今ある業務に忙殺されてしまい、やり方を変えるタイミングを失ってしまうというケースが往々にしてあります。このような人員的課題の背景から、昨今マーケティングオートメーションを使って、マーケティング活動を仕組み化・自動化する工務店様が増えています。

 マーケティングオートメーションとは何か?

一言で申し上げれば「見込み客にニーズを明確にし、マーケティング活動を自動化し、業務効率を最大化する仕組み」のことです。恐らくこれだけ読んでもご存じない方にとっては「何それ?」という感想がほどんどだと思いますので、こちらについては次回の記事で詳しく解説いたします。簡単に申し上げますと上記にあげた課題と、それに伴う人員的課題を、おおよそ解決できるツールだと認識していただければ幸いです。※もちろんメリット・デメリットはございます。

まとめ:単純作業になってしまっている資料送付はお互いにとってデメリット大

見込み客が何を求めているのかを考えず、やみくも資料を送り続けることは、資料を送る工務店様・資料を受け取るエンドユーザー、どちらにとっても損です。「どうせ来場に繋がらないだろう」と思う工務店様にとっては「ただの作業」ですし、資料請求をしたエンドユーザーにとっても期待していたものと違う資料が来ればガッカリしてしまい、お互いにとってデメリットが大きいです。その結果本来伝わるべき双方の情報伝達が行われず、会うこともできないという結果を生み出してしまいます。来場率/来店率を揚げるためには、相手の心理状態を理解し、何を求めているのかを推察し、適切なタイミングで適切なアプローチを心がけることがポイントです。各地方でこだわりのある良い家づくりをされている工務店様が、機会損失を無くし、1人でも多くの良いお客様と出会えることを、切に願っています。